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今日は実家に行ってきました。
…なんとなく、親の顔が見たくなったのです。
駅に着いたと電話すると父が出て、
「お母さんはお店か隣の喫茶店にいるから」
とのことでした。店の扉の鍵は閉まっていて、隣を覗くと母がいました。
両親はいつもここでモーニングを食べているようでした。
ミルクティーを頼んで、近況など話し、店に行くと義姉(兄嫁)がいて
どんな仕事をしているのか教えてもらったりしました。
…私も働けたら…と思わずにはいられませんでした。
店から駅の周辺を撮って戻ると、どっと疲れてしまいました。
ソファに長々と寝そべっていると、外回りをして父が戻ってきました。
「なんだ、ショーコは寝てるのか」
「起きてるよ」
「弱いな、ショーコは」
と父は椅子に腰を下ろすとだらりと力を抜きました。
沈黙のあいだ、父が歳をとった、としみじみ思いました。
私の記憶にあるのは、いつも仕事で家におらず、休日こそ稼ぎ時で、
フル回転で働き、夜には麻雀をして帰ってこない…
疲れを知らないのかのような父の姿しか見たことがありませんでした。
ですが、この数年、父が自分がいなくなることを口にするようになり、
「老いてゆく」のを見てきました。
…どっちが先かわかんないよ、と私は寝そべったまま笑いました。
「先は決まってるだろうよ」と父。
私が疲れているので、家に行ってなさい、と母と二人、家に戻りました。
母は「今度、結婚式があるのよ」と用意したスーツを私に見せました。
某デザイナーのそのスーツは、あか抜けないな、と思いました。
「中に着るのはスタンドカラーでフリフリがいいよ、
コサージュだってそれじゃ地味だよ、いばら姐さんに頼みたいよ」
「あのお花作ってくれた人?」
ちょっと噂など。(笑)
「お父さんと一緒だとこういうのになっちゃうのよ、ショーコと行けば良かった」
「じゃあ、今から行こう。ブラウス買いに」
善は急げ。孝行したいときに親はないのだ。
電車で一駅、デパートのある街。
母は「ここは若い子の服ばっかりね」と上のフロアへ行くのですが、
ミセスのフロアでは「なんかおばさんっぽい」と言うのです。
私もそう思ったので「思い切ってヤングの階にいきましょう」と先を歩きました。
ディスプレイのブラウスに目を止めた母と私は
「そうそう、こういうの」と意見の一致をみました。やはり母娘。
店員さんがすっとんできました。
私が母のスーツの形を説明すると、似た物があるから合わせてみましょう、と
ハンガーからジャケットを取ってきた、そのインナーがすごく可愛くて、
「これ、これがいいよ」
「どうぞお鏡で」
店員さんが私を促すので、私は母が着るのだと言いました。
母は恥ずかしかったようで、鏡であわせることはなく、
そのレースのインナーに決めてしまいました。
「これ、結婚式で1回着たらショーちゃんにあげるからね」
…店員さんの手前、そう言わずにいられなかったのかもしれません。
えへへ、ニコルの服、ゲット。(予約)
買い物が済んで、お茶を飲んで、ちょっと痛かった言葉もあったけど忘れました。
また親の顔を見に来よう、と、椅子に沈んで休む父の姿が
何度も、何度も、思い出されました。
会うだけで孝行になるのだから。
「アインシュタインのよう」と言われるのが気に入っているらしい父。
いつもギャルソンを着てた姉とは好みは違ってもお洒落にうるさい母。
今日は1週間分くらい歩いた気がします。
疲れた…けど、気分はいいです。
私も歳を重ねて、枯れてゆく。でも生きている。生きているから。


それが昔僕が子供の頃 思い切り笑ってた自分の事だとしたのなら
昔の僕が今の僕に足りない僕 何より今の自分を信じてみようかな
それで僕は時計の次の一分を次の一秒を瞬間を待ち遠しくなれるかな
それが昔僕が子供の頃 熱く語ってた自分の事だとしたのなら

(長い夜/ズボンドズボン)


時計の次の一分を次の一秒を瞬間を………

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2007.11.05 
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